Web Magazine 〜私が柴山研を選んだワケ〜
〜 第1回 〜
私はもともと学部は物理学科所属であったのでゲルとはほとんど縁がありませんでした。というわけでゲルに興味を持ったきっかけから始めようと思います。それはインターネットのニュースで創傷被覆材とゲル摩擦の記事に出会ったことです。
話は少しそれますが創傷被覆材について簡単に説明します。創傷被覆材とはその名のとおり傷口を覆うものですが従来のガーゼと消毒をし乾燥した状態で治癒させるのとは異なり、ゲルを用いて覆うことで湿潤環境下で治癒させるものです。乾燥環境下よりも湿潤環境下のほうが治癒も早く、そして傷跡がきれいに消えやすいという特徴を持っています。ゲル摩擦は、例としては関節の低摩擦を思い浮かべるといいかもしれません。生物の体の中にはゲルがたくさんあり素晴らしい低摩擦を実現しています。僕自身スポーツの関係で股関節が痛かったこともあったので「将来人工関節でお世話になるかもなぁ」と思っていました。これらに興味がある方がいるかもしれませんからいくつかを下記に紹介します。
話を戻しまして、これらの記事を読んで、ゲルの応用について調べてみた結果 「ゲルはさまざまな機能を発揮できるんだなぁ、これからが熱い分野だな」と思ったものの漠然とした憧れだけでしたので、進路に関係するとは思ってもいませんでした。
そんなこんなで月日は流れ、物性研究所のHPから研究室のHPを眺めていたときに 柴山研究室に気がつきました。そこでソフトマテリアルの基礎研究をやっていていることをしりました。 そして物理系からの学生も受け入れていることを知り、さらに当時のHPには素人歓迎というフレーズもありオープンな雰囲気だったので 柴山研究室に興味を持ちました。 またメンバー紹介で教授の顔写真がダンディだったのも興味を持つきっかけのひとつだったかもしれません、笑。
その後、オープンハウスなどで研究室見学を通して、柴山研究室は世界有数の実験装置が使える素晴らしい環境であり新しいことをやりたかったのと、これからが楽しみな分野だったので私は研究室を柴 山研究室を選びました。 四月現在の時点ではナノコンポジット型ヒドロキシルゲルの構造解析とダイナミックスに関する研究に携わる予定です。 また柏キャンパスは研究する環境として、とてもよい環境だと思います。
というわけで、興味がある方はぜひ物性研究所のオープンハウスや一般公開で柴山研究室に来てみて下さい。
勝村総一郎のワケ
初めて高分子を意識したのは多分三回生の5月頃だった思います。たまたま富士山を一緒に登ることになった人が北大でゲルをやってる人だった。その人の研究内容はゲルの摩擦が非常に小さいことに注目して(詳しいことは忘れましたが)いろいろ調べてるということでした。その内容も面白く感じたのですが、同時にその研究結果が人工関節の話に直に繋がるということも伺い、基礎的なことと応用的なことが割と容易につながるものがあることに少し感動しましたのを覚えてます。そして特に何も考えず時間が過ぎて大学院でどこの研究室を受けるかという話になったとき、もちろん物理をやりたかったのですが、もう一度どの分野をやるかを自分なりに整理してみたら以下のようになりました。要点をしぼると2つの理由があります・実験対象をもっと身近に感じていたかった。できれば常温、常圧などの世界で物理をやりたかった。・その後ろに広がるいろいろな分野への広がりに憧れた。基礎と応用、二つの異なる領域とうまく関われるのは何か、と考え高分子というものに興味を持ち始めました。そしてせっかくやるなら、おそらくマイナーであろうゲルというものに関わろうと思い柴山研に行くことを考えました。そして高分子の分野では今どんなことが話題になってるかなんて全く知らない状況で、しかも特に調べようともせず、ただこの研究室では面白そうなことができるだろうなあ、という勘で柴山研を選びました。とりあえず今のところ勘は外れてないような気がします。